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Vol.6 適合証の交付体制


 皆さん、こんにちは。「検査員 ヒデ」でございます。6月の入庫台数ナンとか前年度対比100%になりました。しかし、6月の中旬から終わりにかけて、入庫率が上がってきたような感じですね。この様な感じではなく、全体的に入庫率がまんべんなく入ってくるようにしなければならないのですが、うまくコントロールが出来ないですね。7月は販売台数、車検台数とも多くなってくる月でもありますので、がんばりたいと思います。

 さて、今回の「整備工場の現場の知恵」ですが、今回は、「事業所管理責任者」及び「検査員」の関係について考えたいと思います。
 皆様の会社でも「事業場管理責任者」様が色々管理していると思われますが、ここで、「事業場管理責任者」について皆様は、どなたが担当されているでしょうか?会社の代表や工場長などが、「事業場管理責任者」となっているのではないでしょうか?社長自身が「事業場管理責任者」をされている場合、結構出かけられているのではないでしょうか?事実上、「管理責任者」はタイムカードや出勤簿にて管理されていると思いますが、
 タイムカードを毎日押したり、出勤簿を丸々1ヶ月単位で製作されたりしていないでしょうか?このようでは「事業場管理責任者」の職務が出来ていないのではと思われます。
 このような状態を防ぐためにも、まず行う事は、「事業場管理責任者」を、実際に工場を管理している「工場長」などに変更することをお勧めいたします。「工場長」の場合、工場の段取りや入庫の段取りをしているわけですから、基本的に工場にずっといる場合が多いと思います。
 また、フロントマンでも良いと思われます。「事業場管理責任者」は、検査員の資格を持っている必要はないからです。基本的に工場に朝から晩まで、検査業務に携わっている人物が一番適任と思います。
 次にする事は、「事業場管理責任者」の「代務者」を2名〜3名選出する事です。これは、もし「事業場管理責任者」が休み(又は不在)の場合、「第一代務者」がする事になります。また「事業場管理責任者」と「第一代務者」が休みや不在の場合は、「第二代務者」、「第三代務者」・・・となりますので、2名〜3名程度選出することが望ましいと思います。こうすることによって、漏れのない且つ車両法に則った検査業務を、事業場管理責任者が管理していくことができます。

 検査員が、車両の受け入れ、中間検査、完成検査の業務をしていくわけですが、最終的に完成検査をして、検査員が適合証の署名捺印をするまでが、検査の業務となってまいります。
 適合証の書き方で注意することは、「検査員」が記入する部分と「事業場管理責任者」が記入する部分を正しく行うことです。当社では、適合証の記入は、基本的にフロントアシスタントが行うようにしています。
 フロントアシスタントが、車検証記載事項である「氏名」「住所」「登録番号」「車台番号」「乗車定員」「最大積載量」「用途」「車両総重量」を転記し、次に自賠責保険証から「保険期間」「証明書番号」「保険会社」「保険契約者名」を転記し、最後に「最終の検査申請日」を記入する事になっています。
 このときに、ちょっと注意が必要な箇所は、改造車の場合やトラックの「車台番号」の「−」部分と「職権打刻の車台番号」の場合です。トラックや被牽引車、輸入車などには要注意となります。
 その後、検査員が署名、捺印をする訳ですが、検査員が署名、捺印をする箇所は、「検査の年月日」「自動車検査員の氏名」を記入して、「印」部分に捺印をすることとなります。
 気をつけなければならない事は、検査員が署名する箇所は、「検査の年月日」「自動車検査員の氏名」だけです。「交付の年月日」は検査員が記入してはダメなんです。
 これは、「検査員」が、完成検査終了後、指定整備記録簿を完成させて、保安基準適合証に署名、捺印して、管理台帳と適合証を「検査完了したので適合証を交付して下さい。」と「事業場管理責任者」に請求をして、「事業場管理責任者」が、記録簿・適合証・交付台帳が一致していることを確認して始めて適合証の「交付年月日」を記入して「事業場管理責任者」が「事業者印」を捺印して交付となるわけです。

 
 どうでしょうか結構、検査員が自ら適合証を記入されていたり、適合証を上から順番に記入されていたりする工場が多いのではないでしょうか?
 適合証を上から順番に記入した場合、交付年月日が最初に来ますので、その時点で間違った場合は、訂正印が利きませんので、そのまま書損とはされていないでしょうか?そのまま書損とされた場合は、「交付体制が不適切」(検査員と事業場管理責任者両方が罰せられる)となりますので要注意となります。


 


 なぜ「交付体制が不適切」となるのか?「交付年月日」は、適合証の他の部分が記載されていないのに、交付年月日を記載することができないためです。
 事業場管理責任者は、適合証の記載事項が全て記入・間違えがなく、記録簿が全て記入してあり、かつ間違えがなく、管理台帳の請求印を確認した上で適合証に「交付年月日」を記入して事業場印を押印する事になっています。
 簡単に言えば、適合証、記録簿、自賠責、などが全て揃っていて、全て記入してある状態でないと「交付年月日」に交付日を記入してはならないし、事業場印を押す事が出来ないのです。上記のように、交付年月日のみを記入してある状態で「書損」と言う事は絶対にありえない事なのです。
 監査で、適合証の間違いにより朱末している適合証は、全て確認しているように思います。監査官も検査をした書類(適合証綴り・記録簿・交付台帳)のみしか確認をする事が出来ません。イコール書類を毎日確認、一台一台を記入していくことによって監査の印象も違いますし、間違えが起き難い体制が整えるわけです。
 交付体制を完全なものにするためにも適合証の取り扱いを、
  @フロントアシスタントが車検証からの転記と
   自賠責保険内容の記入
  A検査員が@の記載内容の点検確認後に
   検査月日、検査員の署名捺印
  B事業場管理責任者が@Aの点検確認
   後に交付年月日、社印の捺印
 する完全分業体制とすることによって、記入漏れや誤字などが訂正出来る体制を整えておくことが、指定整備を適正に行う体制が整うのです。

 昨今、損害保険会社や整備工場でも「コンプライアンス」を充実する事が叫ばれております。企業におかれては様々なコンプライアンスを遵守するために自社基準を設けておられるとは思いますが、この度、「現場の知恵」は整備工場で一番多い検査業務について書かせて頂きました。
 私が「事業場管理責任者」になり、車両法を読んだのですが、さっぱり分りませんでした。上記の交付体制について、監査の時に「どういった流れで検査業務と適合証の交付をしたら良いですか?」との質問に検査官が答えた事です。監査の時には、実際「記録簿」「適合証」「交付台帳」しか書類が残っておりません。逆に言えば書類でしか見極めることが出来ないのです。記録簿のチェックは2回、3回とされているでしょうが、適合証も再チェックされてはどうでしょうか?


検査員 ヒデ



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