Motown21トップ技術革新 > 自動車技術トレンド

第13回 スバルのインテリジェントドライブアシストシステム「SI-DRIVE」
 富士重工業鰍ヘ、このほどマイナーチェンジしたレガシィシリーズに運転者とクルマとのコミュニケーションを通じて走行性能や環境性能などへの意識を高めながら、さまざまな使用状況で用途に合わせて積極的に運転を楽しむことができるシステム「SI-DRIVE(エスアイドライブ/Subaru Intelligent Drive)」を搭載しました。

レガシィの外観では、従来の機能と美しさを追求したデザインを活かしながら、細部にまでこだわったデザイン変更を施している。


 ●SI-DRIVEの概要

 このシステムは、ベースとなるエンジンとトランスミッションを含めたパワーユニットの基本性能を向上させたうえ、エンジンコントロールユニット(ECU)やオートマチック(AT)車のトランスミッションコントロールユニット(TCU)に、運転者の要求に合わせた性能を実現する出力特性や制御パターンを三つ設定しています(図1。通称コンピュータチューニングなどという)。
 すなわち、実用燃費を重視した設定の「I(インテリジェント)」モード、幅広い用途でスポーティな走行を楽しめる「S(スポーツ)」モードと積極的な走りに対応する「S♯(スポーツシャープ)」モードの3モードが設定されています。この設定を運転者が任意に切り換えることによって、1台のクルマで三つの異なる走行性能を楽しむことができます。


図1.SI-DRIVE制御系統図(イメージ)。コンピュータのマップの変更で運転者の望む走行条件に合わせた出力特性が得られる。
(すべての図は、クリックすると拡大します。)


 ●SI-DRIVEの各制御モードの特徴(図2)

 @Intelligent(Iモード):市街地走行などの実用領域でスムーズかつ実用には十分な出力特性を持ち、扱いやすさと優れ実用燃費性能を実現するモードです。エンジントルクを抑制し、AT車ではトランスミッションのロックアップ制御などを変更しています。また「ECOゲージ」など運転者に燃費走行を意識させるディスプレィとの相乗効果で優れた実用燃費を実現します。

 ASport(Sモード):自然吸気エンジンに見られるアクセル操作に忠実な出力特性を持ち、幅広い用途で快適かつスポーティな走行が楽しめるモードです。

 BSport Sharp(S♯モード):アクセル操作の反応をより鋭敏に設定するとともに、低回転域から高回転域までレスポンスに優れる出力特性としています。またAT車ではシフトアップポイントの変更などでワインディング路などでのスポーティな走行状況にも積極的に対応するモードです。


図2.各制御モード出力特性図(イメージ)。
図はアクセル開度を全開付近で維持したときのもので、各モードの出力特性は変化する。


 ●SI-DRIVEのインターフェイス

 このシステムは、運転者とクルマとの積極的なコミュニケーションを通じて、自らに見合った走り方を創造する楽しさを提供するものです。そのコミュニケーションを促進するツール(インターフェイス)として、制御モードの的確な切換えを可能とする「SI-DRIVEセレクター(図3、写真1、写真2)」、運転者に燃費走行を意識させる「ECOゲージ(図4)」、SI−DRIVEの稼動状況を総合的に表示する「マルチインフォメーションディスプレイ(図5)」を設定し、さらにマニュアルトタンスミッション車には「シフトアップインジケータ(図6)」も装備しています。

 @SI-DRIVEセレクター:センターコンソール部に1回の操作で各制御モードに切り換えるものです。ダイアルを左に回すと「Sport」に、右に回すと「Sport Sharp」に、ダイアルをプッシュ(押す)と「Intelligent」に切り換ります(図7)。

 AECOゲージ:スピードメーター下部にECOゲージを設定しています。針が垂直下の位置を基準に、運転者の走行履歴から演算した平均燃費を上回ると針が右に振れ、燃費走行をしていることを表示します。

 Bマルチインフォメーションディスプレイ:平均燃費および瞬間燃費などのほか、現在選択している制御モードの出力特性をイメージしたグラフで図示します。そのグラフに沿って現在のアクセル開度のレベルを表示するなど、運転者に、より的確に車両情報を提供します。

 Cシフトアップインジケータ:マニュアルトランスミッション車のIモード時に、タコメーター内にシフトアップインジケータを設定しています。これは加速状態で燃費走行に適したエンジン回転数に達するとインジケータが点滅して運転者にシフトアップ操作を促します。


図3.センターコンソールにSI-DRIVEメインスイッチとステアリングのサブスイッチ(S♯モードにセットする)で各モードの切換えを行なう。


写真1.センターコンソールのSI-DRIVEメインスイッチ。


写真2.ステアリング右下に備えられたSI-DRIVEサブスイッチ。


図4.ECOゲージが組み込まれたスピードメーター。IモードではECOインジケータも点灯して燃費走行を促す。エンジン冷機時にはS♯モードへはシフトできない(禁止インジケータが点灯)。


図5.マルチインフォメーションディスプレイに表示されるSI-DRIVE各制御モード。


図6.MT車のシフトアップインジケータの装着位置。燃費走行に適した回転数になると点滅して運転者に知らせる。


図7.SI-DRIVEメインスイッチの操作方法。


 株式会社 ティオ MOTOWN21 事務局
〒236-0046 横浜市金沢区釜利谷西5-4-21 TEL:045-790-3037 FAX:045-790-3038
Copyright(C) 2005-2006 Tio corporation Ltd., All rights reserved.