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 第42回  ホンダレジェンドのポップアップシステム

本田技研工業㈱は、このほどフルモデルチェンジした「オデッセイ」に周囲の視界をカメラ映像で捉えて安心・安全な運転を支援する「マルチビューカメラシステム」を新採用しました。


 これは、魚眼CCDカメラで捉えた映像をナビゲーション画面に表示させることで、自車周辺の死角を低減し、縦列駐車や車庫入れがスムーズに行えるように支援します。同時に見通しの悪いT字路や幅の狭い道などでも、より安心・安全な運転を支援するものです。  ホンダでは、独自の安全思想に基づいて予防安全の観点から、さまざまな視覚支援に取り組んでおり、2001年には後退時の後方視界を支援する「リアカメラシステム」を開発し、2003年には夜間の旋回時における視認性を向上させる「アダプティブ・フロントライティングシステム(AFS)」を開発しました。さらに2004年には夜間に前方の歩行者を検知してドライバーに知らせる「インテリジェント・ナイトビジョンシステム」を開発して市販車に導入しています。今回オデッセイに搭載された「マルチビューカメラシステム」は、これらに続く視覚支援システムです。

 ● マルチビューカメラシステムの構成

 フロント、リア、左右ドアミラーに、合計4個の魚眼CCDカメラを装備しています(図1、写真1、2、3)。これらによって車両の全周囲を撮影し、その映像を合成してステアリング舵角の情報から算出したガイド線などに加えてナビゲーション画面に表示します。それによって駐車支援、視界支援、幅寄せ支援を行います。なお、このシステムを使用したくない場合は、カメラスイッチで映像をOFFすることもできます(図2、写真4)。この場合は、ナビゲーション画面に切り換わります。

   
       

写真1:フロントグリルに設置されたフロントカメラ。180°の広角魚眼カメラを採用。
写真2:左右のドアミラー下部に設置されたサイドカメラ。
写真3:リアナンバープレート付近に設置されたリアカメラ。
写真4:マルチビューカメラシステムはカメラスイッ チで切換えができる。

 


 


 




 ● マルチカメラシステムの作動概要

 セレクトレバーがRポジション時には、後方の映像と上空から自車を見たような映像の「リアビュー+グランドビュー」を表示し、R以外のポジションにすると「フロントビュー+グランドビュー」に切り換わります。さらにカメラスイッチを押すごとに、前方左右を広角に表示する「フロントブラインドビュー」やフロントタイヤ付近を表示する「サイドビュー」に切り換えられます。このように多彩なビュー画面で、さまざまな状況での運転にゆとりと安心感を与えます(写真5)。

なお、車速が15㎞/hを超えるとナビゲーション画面に、12㎞/h以下になるとカメラ画面に自動的に切り換わります(図3)。
 

 ● マルチビューカメラシステムの作動詳細

 ①駐車を支援するリアビュー/フロントビュー+グランドビュー
 4個のカメラで撮影した映像を30コマ/秒の高速処理で、車両を上空から見下したような映像に合成して表示するグランドビューは、車両の周囲の状況を直観的に把握できます。さらにステアリング舵角を検出して予測進路を示すガイド線やタイヤ切れ角も合成表示し、車両の動きをよりイメージしやすくしています。前進時は前方の映像を、後退時は後方の映像も合わせて表示してスムーズな駐車を支援します(写真6)。なおグランドビューは、ドアミラーを格納した状態でも表示できるので、立体駐車場での入出庫時にも利用できます。
 ②見通しの悪い交差点での視界を補助するフロントブラインドビュー
 フロントグリルに設置した180°の魚眼CCDカメラで前方左右の状況を広範囲に表示して見通しの悪い交差点などでのブラインドを減らして安心感を高めます(写真7)。
 ③狭い道などで車両左右の距離感を把握しやすくする左右サイドビュー
 左右のドアミラー下部に設置したカメラでフロントタイヤ付近の左右下方を表示して車幅規制用ポール通過時や狭い路地での対向車とのすれ違い時、路肩への幅寄せ時などで左右の距離感をつかみやすくします(写真8)。左側のドアミラーには近赤外線LED(発光ダイオード)照明を備え、街灯のない夜道でも路肩の白線などを確認しやすくしています。
 ④使い方表示機能
 駐車ガイド線を加えたグランドビューと駐車手順説明を同時に表示して駐車時のスムーズな操作をサポートし、縦列駐車、バック駐車に対応します(写真9)。
 なおグランドビューでは立体物が歪んだり、上部が画面に映らないなど、画面に映し出されている映像と実際の状況が異なることがあります。また映し出す範囲に限界があり、バンパーの両コーナー付近、バンパーの下や黒線上にあるものは映りません。













 


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