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 第57回 ホンダ CR-Z のハイブリッドシステム

本田技研工業㈱は、クルマの可能性を広げ、新時代の楽しさを創造する新たなチャレンジとして、ハイブリッドカーならでは“ワクワク”を伝えるスポーティクーペ「CR-Z」を発表しました。




 ●ハイブリッドシステムの概要

 独自の「主動力のエンジン」と「補助動力のモーター」を組み合わせて、低燃費と排出ガスのクリーン化を高水準で実現しています(写真)。低速域から強力にアシストするIMA(インテグレーテッドモーターアシスト)と1.5L i-VTECエンジンを組み合わせることで、1000~1500rpmで最大トルクを発生しながら高回転域までストレスなく吹き上がります(図1)。軽量ボディと合わせて2Lガソリンエンジン車クラスの力強い加速感をもたらします。ゆとりの動力性能を確保しながら25.0㎞/L(JCO8モード走行燃費:22.8㎞/L)の低燃費(いずれもCVT車)を実現して、「平成22年度燃費基準+25%」を達成したうえ、「平成17年排出ガス基準+75%低減レベル」認定も取得しています。

 
 
 

 ●1.5L i-VTECエンジンの特徴

 1.5L直列4気筒エンジンで、吸排気効率に優れた1気筒4バルブ方式を採用しています。低回転時には、二つある吸気バルブの一方を休止する1バルブ休止VTEC機構(図2)を採用したうえ、スワール効果でシリンダ内の混合気分布を最適化させることで、EGRの量を増加させても安定した燃焼ができるようにしています。また1バルブ休止機構などによる燃焼効率の向上に加え、広範囲にわたりフリクションの低減を追求しています。
さらにシリンダヘッド内で燃焼ガスを集合させるエキゾーストマニホールド一体構造として、その直下に高耐熱触媒を設置して燃焼ガスの熱損失を低減し、触媒の早期活性化を実現することでコールドスタート時の排出ガス浄化性能を高めています(図3)。
そのほか、信号や渋滞などで停車した際にエンジンを自動的に停止させるオートアイドルストップシステムを採用し、ECONモードではエアコン使用時のアイドルストップ時間を延長して燃費を向上させています。
変速機として6MT(図4)とCVT(図5)が用意されており、6MTとの組合せでは最高出力84kW(114PS)/6000rpm、最大トルク145Nm(14.8㎏m)/4800rpm、CVTとの組合せでは83kW(113PS)/144Nm(14.7㎏m)と、ややCVTとの組合せが劣ります。



 
 
 

 ●アイドルストップシステムの作動

 この作動も、変速機別に異なっています(図6)。MT車では、ブレーキペダルを踏み、車速が30㎞/h以下になった場合にクラッチペダルをいっぱいに踏み込むとエンジンが停止します。再始動にはクラッチペダルをいっぱいに踏み込み、シフトレバーをニュートラル位置から他のポジションに入れることで、再始動します。
CVTの場合は、ブレーキペダルを踏んで車速が10㎞/h以下になるとエンジンが停止します。そして、ブレーキを解放するとエンジンが再始動します。



 ●IMAの特徴

小型・軽量な薄型DCブラシレスモーターを採用しています。積層したケイ素鋼板のスロットに磁石を挿入する構造で、生産効率にも寄与するIPMローターを採用しており、ステータには平角断面巻線を採用してコイルを高密度化して、より少ない巻数で必要な出力を確保しています。
 高効率化とコンパクト化を追求したPCU(パワーコントロールユニット)を採用しています。これによって、走行状況に応じてモーターの駆動と電気エネルギーへの回生を最適に制御します。バッテリやモーターからの高電圧の直流電力を12Vに変換するDC-DCコンバータ、直流電力をモーター制御のために交流に変換するPDU(パワードライブユニット)およびモーターECU(エレクトリックコントロールユニット)を1個のケースに格納しています(図7)。
 モーターアシスト機構を作動させるために、高効率化を追求したNi-MH(ニッケル水素)バッテリを採用しています。モジュールあたりの出力と耐久性を向上させて少ない本数でモーターが求める出力と容量を確保しています。
 このPCUとニッケル水素バッテリを2段重ねにしてIPU(インテリジェントパワーユニット)を構成し、荷室下へ収納しています。これによりエンジンルームとは1本のケーブルで結ばれています。
 IMAモーターは最高出力10kW(14PS)/1500rpm、最大トルク78Nm(8.0㎏m)/1000rpmの性能を発揮します。そのためシステムトータルでは最高出力は91kW(124PS)/6000rpm、最大トルクは174Nm(17.7㎏m)/1500rpmに達します(図8)。


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