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dk公取委が日野・三菱ふそうの経営統合を承認 制約多き船出に


dk公取委が日野・三菱ふそうの経営統合を承認 制約多き船出に

公正取引委員会が日野自動車三菱ふそうトラック・バスの経営統合を承認した。両社の持ち株会社「アーチオン」は、予定通り4月1日に設立することになる。しかし、承認には競争環境を維持するための多くの制約がついた。

公取委は2月26日、トヨタ自動車と独ダイムラーによる日野と三菱ふそうの経営統合を承認したと発表した。独占禁止法の規定に基づき、「公正な競合環境」を維持するための提案を2月10に受理し、審査を行ってきた。

日野と三菱ふそうの経営統合は、それぞれの親会社であるトヨタとダイムラーが2023年に発表した。認証不正問題が発覚した日野の経営に限界を感じていたトヨタが、東南アジア事業を強化したいダイムラーの提案に応じた。25年に持ち株会社の経営体制と会社名を発表。26年3月2日には、東京証券取引所プライム市場への上場も承認された。本社は東京・品川の大崎に置く。日野と三菱ふそうはアーチオンの完全子会社となる。日野は上場が廃止となる。

公取の承認を得て、いよいよ動き出す日野・三菱ふそう連合だが、その事業には多くの制約が付くことになった。両社の経営統合によって、国内の大型車メーカーは、いすゞ自動車とUDトラックスのいすゞグループ、日野、三菱ふそうという現在の3陣営から、いすゞ陣営と日野・三菱陣営の2つに集約される。「協調的行動による競争制限の恐れ」があるとして、公取の目が厳しくなった。

トラック、バスともに、市場の現状を踏まえた細かな制約が付いた。苦肉の策と言えるのが大型トラック・同バス(観光・路線)だ。大型トラックの市場は、2陣営で大半のシェアを持つことになる。大型バスも同様だ。そこで登場してきたのが、スウェーデンのスカニアを「有力な競争相手」に育てるという条件だ。

スカニアは以前、日野と業務提携の関係にあった。現在はスカニアジャパンが大型トラックの輸入販売を行っている。示された条件は、スカニアの大型トラックの販売とアフ ターサービスを日野・三菱ふそうが支援するというものだ。スカニアは欧州ではダイムラーの競合相手だが、日本でのシェアはわずかだ。スカニアが国内2陣営と競える力をつけることで、健全な競争関係を維持するという。

大型バスについてはさらに踏み込んだ。スカニアの大型観光バスの製造・販売・サービスを日野・三菱ふそうが支援するという。スカニアは日本で大型観光バスの販売を行っていない。日野といすゞが共同出資するバス事業会社ジェイ・バス(石川県小松市)で、スカニアのエンジン・シャシーに日野が開発するボディーを組み合わせた観光バスを製造する。

中型トラックでは、日野・三菱ふそうそれぞれの直営販売会社が存在する地域では、どちらかを独立系販社にすることや、グループ内の情報遮断を条件とされた。トヨタも一定のシェアを持つ小型トラックに関しては、トヨタを「有力な競合相手」とすべく、アーチオンへのトヨタの議決権割合を20%以下にすることや、トヨタとアーチオンの人事交流の制限・情報の遮断が必要とされた(小型バスも同様の措置)。

大型路線バスについても厳しい措置が取られる。日野、三菱ふそうの競合関係を維持するため、アーチオン、日野、三菱ふそうの間での情報共有が制限される。

日野は競争法上の懸念を払しょくするという理由から昨年、直営販社6社への出資比率を引き下げると発表している。北海道、東北、関東の計5社は、台湾で日野車を販売する和泰汽車が80%を、静岡日野自動車には愛知日野自動車が88.5%を出資する。それぞれ26年4月1日付で移管される予定だ。

日野と三菱ふそうの経営統合は、トヨタの意向とダイムラーのグループ戦略に沿ったものだが、国内の状況から見ると、かなり無理のある統合であることが公取委の承認条件から明らかになった。トヨタ、ダイムラー、アーチオン、日野、三菱ふそうは、生産や開発での統合効果を追求しながらも、市場では顧客に不利益とならないよう、競争関係の維持に労力を払うことになる。大型車市場にどのような変化が現れるのかも注目される。


 




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