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自動運転技術、
日本勢も開発加速


日本勢も自動運転技術の開発を強化

政府が進める自動運転プロジェクトのロードマップ  欧米勢が先行しているかに見える車の自動運転技術。だが、日本勢も衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報など自動運転につながる技術の開発を続けてきた。政府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に自動運転技術が盛り込まれ、国内の自動車メーカー、部品メーカーが自動運転技術をアピールし始めた。
  日産自動車のカルロス・ゴーン社長は7月17日に日本外国特派員協会で行った講演会で自動運転技術の具体的な導入スケジュールを明らかにした。日産は2020年までに自動運転車を実用化するという方針を示している。今回、段階的な実用化スケジュールを示した形だ。
  まず16年末までに、混雑した高速道路上での自動運転技術「トラフィック・ジャム・パイロット」を実用化する。 同様に、ハンドル操作だけでなく加減速の操作もいらない自動駐車システムを幅広い車種に導入する。  さらに18年には車線変更を伴う複数レーンでの自動運転、そして20年には十字路や交差点を自動で横断する技術を実用化するという。このような具体的な導入スケジュールを明言したのは日本の自動車メーカーでは日産が初めてだ。
写真-3   欧米自動車メーカーではダイムラーが13年に一般公道を含む100劼亮動走行実験をドイツで行った。自動運転車の開発では最も先行していると見られるが、実用化のスケジュールは、スマホなどで車外から操作する自動駐車を15、16年、高速道路の自動運転を20年頃、高速道路以外でも可能にするのが25年頃。日産が示したスケジュールはダイムラーをよりも早く自動運転の実用化を進めるというものだ。 ゴーン社長は「最新技術をどこよりも早く導入することがブランド価値を高める」、と述べ、「自動運転技術でパイオニアになりたい」と話した。
写真-4   トヨタ陣営でも自動運転技術の開発を加速し始めた。デンソーは日本のサプライヤーとして初めて、公道で自動運転車の走行試験を開始した。愛知県の南知多道路で行っているもので、単一レーン内で車線を逸脱しないで追従走行したり、自動でハンドル操作しレーンチェンジする試験を行う。 愛知県の企業、団体が参加する「自動車安全技術プロジェクトチーム」の活動の一環として行うもので、7月14日に行われた発表会には大村秀章・愛知県知事も出席した。試験は日中の晴天時から開始し、段階的に夜間や雨天時にも行っていく。
  地方の自治体でも動きが出てきた。北九州市は九州工業大学、北九州市立大学、早稲田大学大学院と共同で自動運転に関する共同研究組織「自動運転・安全運転支援総合研究センター」を発足した。九州工大が人工知能、北九州市立大がミリ波レーダーなどのセンサー技術、早稲田大学大学院が制御技術の研究を行い、17年までには自動運転車を完成させるという。自動車メーカーや部品メーカーとも連携し、日本の自動運転技術の向上に貢献していくのが狙いだ。
写真-5 自動運転ブームに火をつけた米インターネット検索大手のグーグルは、自動運転の新しいデモカーを発表し注目を集めている。最新のデモカーはハンドルもブレーキペダルもアクセルペダルもない、いわゆる運転席のない自動運転車。近い将来の実用化を目指すという。この考え方が一般の自動車に広がると、ハンドル、ペダル、シフトレバー、メーターなど運転席周りの装備は全くいらなくなる。
  ただ、運転席のない「完全自動運転」の実用化に自動車メーカーは距離を置いている。ダイムラーも明確な実用化の時期を示していないし、トヨタは実用化を念頭には置いていないとのスタンスを示している。実は自動運転車でもあくまで運転の責任はドライバーにある。ジュネーブ条約の道路交通に関する条約にそう書かれているからだ。条約の規定が変わらない限り、ドライバーのいない自動運転車は実現しないことになる。
  欧米のサプライヤーは高度な運転支援として自動運転技術を進化させようとする日本の自動車メーカーの動きをにらんで技術のアピールを始めている。 図-6 独コンティネンタルは軽自動車用の自動ブレーキシステムのセンサーをすでに納入しているが、今度は今秋にも試験車両を日本にも導入する予定で、日本での売り込みを積極化しようとしている。独ロバート・ボッシュもセンサーを中心に必要な技術を揃え、自動車メーカーのニーズに応じて自動運転システムの開発を進めていく方針を示している。
  日本政府が省庁横断で取り組む戦略的イノベーション創造プログラムでは、自動車分野から内燃機関の革新的燃焼技術とともに自動運転技術が選ばれた。東京オリンピックが開催される20年に、一部の自動運転の実用化を目指すとし、国を挙げた取り組みが始まる。自動運転の目的はドライバー支援であり、日本では増え続ける高齢ドライバーの事故防止という目的がある。早期に普及可能なコストで実用性の高い自動運転技術を開発することが、この分野で世界の中の日本のプレゼンスを高めていくことになりそうだ。
図-7




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