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完成検査問題で国交省が日産に業務改善指示


完成検査問題で国交省が日産に業務改善指示


Innovation that excites  日産自動車が不適切な完成検査を行っていたことについて、国土交通省は3月26日、道路運送車両法に基づき、型式指定に関わる業務改善指示書を交付するとともに、30万円以下の過料を適用するよう、横浜地方裁判所に通知した。「経営層を含め日産組織の責任は極めて大きい」とし、今後、同社を「重点的な監視対象」としていく方針だ。
 業務改善指示書で国交省は、「実態を伴わない完成検査に関する実施細則を届け出ることにより、数多くの型式指定を受け続けていたこと」「各工場の管理者や日産本社が現場の実態を把握・管理できておらず、昨年9月の立ち入り検査時の不適切対応に関しても、各工場に対し速やかに的確な指示を出さなかったこと」について、「極めて不適切であり、一連の不適切事案が「経営層を含め日産組織の責任は極めて大きいと」と指摘した。
 その上で、再発防止策の実施状況を四半期ごとに報告するよう日産に求めるととともに、同社を重点的な監視対象とし、改めて不適切な行為が判明した場合は、必要に応じた措置をとることを表明した。西川廣人社長に指示書を手渡した石井啓一国交大臣は「自動車型式指定制度の根幹を揺るがす行為であり、極めて遺憾」と改めて猛省を促した。
 日産の不適切な完成検査は昨年9月、日産工場への国交省の立ち入り検査で明らかになった。同省は他のメーカー、インポーターにも自社の状況確認を行うよう指示したところ、スバルでも同様の問題があったことが判明した。日産は11月17日付で調査報告書を提出し、それに基づく再発防止の取り組みを実施している。
SUBARU Confidence in Motion  一方、スバルは12月19日付で報告書を提出したが、その直後に燃費・排ガス性能の抜き取り検査でデータの書き換えが行われていた事実が明らかとなり、この点を踏まえた報告書を改めて提出することにしている。
 日産やスバルで行われていた不適切な完成検査では、完成検査員の社内資格を持たない従業員が完成検査を行っていたほか、完成検査員の判子の貸し借りが行われていたことが発覚した。さらに、完成検査員になるための試験問題を事前に教えたりするなど、一般的な常識に照らしてもおかしいと思われる事案が長年にわたって行われていた。監査の目を免れるため、適正に検査を行っているように装う隠ぺいも行われていた。
 問題の根源には、こうした不適切行為は現場の長年の習い性になっていたことや、チェック体制の不備がある。規程は守られるはず、という性善説に立って完成検査制度を運用してきた国交省は面目をつぶされた形だ。
 新しく製造された自動車は本来、1台1台、国が検査を行われなければならない。大量生産を可能にするために導入されたのが型式指定制度であり、メーカーは国からの委託により完成検査お行っている。少なくとも日産・スバル以外は、規程を守って完成検査を行っており、2社は今回の件でガバナンス(企業統治)に疑義が生じたと言っても過言ではない。
 国交省は再発防止策を検討するため「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」を立ち上げ、有識者を加えた検討を行ってきた。日産への業務改善書交付に先立つ3月20日にはその中間とりまとめを公表。それによると、型式指定申請の際に完成検査の方法を書面で添付することや、検査方法を変更した場合は届け出の対象になること、書面に記載された完成検査の方法に基づいて検査を実施しなければならないことを法令(告示も含む)で明確にする。これまでは通達で済ませていたが、法令による義務付けにより規範性の向上が期待できるとしている。
 チェック機能を強化するため、無通告で監査を実施することも盛り込んだ。これまでは、効率的な監査を行うことを理由に、監査を事前通告していた。このことが、隠ぺいの余地を与えてしまったとも言え、抜き打ちで実施することで、不正を隠せないようにする。不正の疑いが生じた場合は、国がメーカーに事実関係の調査や原因究明・再発防止策の実施を勧告し、検証が終わるまでは型式指定の効力を停止できるようにする。同省はとりまとめの内容を速やかに実施する方針だ。
MITSUBISHI MOTORS Drive your Ambition  自動車業界では2016年4月に三菱自動車による燃費不正問題やスズキによる燃費測定方法の不備が発覚し、大きな問題になった。その翌年、日産とスバルで不適切な完成検査が発覚し、度重なる不祥事が自動車産業への信頼を揺るがしている。自動車メーカーには利益や台数の拡大よりも、安全や品質を最重視する姿勢が改めて求められている。