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日野とVWトラック&バスが提携


日野とVWトラック&バスが提携


HINO  日野自動車フォルクスワーゲン(VW)グループの大型車部門、VWトラック&バスと包括提携することで合意したと発表した。 VWと言えば、日野の親会社であるトヨタ自動車の競合相手。 そのVWと日野が手を結んだことに業界でも驚きの声が上がった。いかに巨大メーカーグループに属していようとも、それだけでは対応できない変化が大型車の世界で始まろうとしている。
 「トヨタグループの一員であることの強みは技術や人材育成などにある。しかし、商用車が直面している課題はグループ内では解決が難しい」。日野の下義生社長は、4月14日に都内で開いたVWトラック&バスとの提携記者会見でこう話した。 Volkswagen 日野は言わずと知れたトヨタグループの一員だ。大型から小型まで各種トラック・バスを生産し、世界で販売している。
 同グループには、デンソーアイシン精機ジェイテクトをはじめとした錚々たる部品メーカーが顔を揃え、自動運転や電動化など、近年注目されている分野でグループの最新技術を存分に使える立場にある。グループにいる限り、環境・安全といった重要な技術で世界から立ち遅れる心配はない。ダイハツ工業がトヨタグループのコンパクト車メーカーという位置づけであるのと同様、同グループの大型車メーカーという位置づけば盤石だ。
 しかし、2001年に日野がトヨタの子会社となって以降、初の日野生え抜き社長となった下氏の危機感は、トヨタから派遣された歴代社長とは違う。17年の社長就任当初から、「商用車を取り巻く変化は乗用車以上に激しくなる」と、他社との連携を模索していく姿勢を示していた。
 日野の提携先の一つにはいすゞ自動車がある。いすゞにはゼネラルモーターズ(GM)が06年に出資を引き揚げた後、トヨタが5.9%を出資した。トヨタは欧州向けディーゼルエンジン開発でいすゞの協力を得る考えだったが、トヨタの経営が豊田章男社長体制に変わり、このプロジェクトは雲散霧消した。
 替わっていすゞと協力関係を強めているのが日野だ。日野といすゞは、日野・VWの提携発表のつい3週間前にも自動運転の実用化に向けた高度運転支援技術とITS技術について発表している。両社で開発した「視界支援」「路車間通信」「加減速支援」「プラットホーム正着制御」の4つの技術を、両社で開発中のハイブリッド連節バスをはじめとした製品に18年度から順次搭載していくという内容だ。
 いすゞとそうした関係がありながら、VWとわざわざ提携するのは、IoT(モノのインターネット)や自動運転技術により、輸送や物流の分野の変革が世界的に急速に進むと見ているためだ。ネットショッピングの拡大により、物流の需要は急速に増している。一方でドライバー不足や過疎化による公共交通機関の退縮といった課題も顕在化している。
 こうした課題の解決手段として、トラックやバスでは自動運転へのニーズが乗用車以上に高まっている。電気自動車(EV)シフトも無視できない世界流れのだ。VWと組むことで、欧州の動向やダイムラーボルボといった大型車のトップメーカーの動きを把握することができ、日本メーカー同士の協業では得られないメリットがある。VWトラック&バスはドイツのマン、スウェーデンのスカニアを傘下に持つ。日野は00年代初頭にスカニアと協業したことがある。スカニアとの協業経験も今回の包括提携につながったと見られる。
 懸念されるのは、日野がVWの傘下に組み込まれることはないのか、ということだ。この点について両社は、日野はトヨタ、VWトラック&バスはVWのグループであり続ける、とし、株の持ち合いなど資本関係は一切考えていないと断言する。
 とはいえ、幅広い領域に協業が及べば、安定的に協業を進めていくための資本提携に発展する可能性が皆無ではない。VWについては、その覇権主義的な手法を警戒しなければならない。VWはスズキを力づくで支配しようとしてスズキの猛反発を買い、国際裁判所に裁定を委ねるまでに関係がこじれたことは記憶に新しい。日野はバックにトヨタが控えているとはいえ、スズキのようになる心配がないではない。