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トヨタがコネクテッドカーを本格展開


トヨタがコネクテッドカーを本格展開

 トヨタ自動車がインターネットに常時つながる、いわゆるコネクテッドカーの展開を本格化する。 新型「クラウン」新型車「カローラスポーツ」 を手始めに、全ての車に専用の車載機(DCM)を搭載する。2020年までにDCMを全ての乗用車に搭載するというトヨタが狙うのは、メンテナンスの“ジャストインタイム(JIT)”化だ。
 「コネクテッドカンパニーがクラウンやカローラをつくったらどんな車になるのか。それはリアルなコネクテッド体験をもたらす車です」。トヨタが先月26日にメガウェブで開催した新車発表会。冒頭で豊田章男社長はこう語り、新型クラウンとカローラスポーツを披露した。実はこの発表会に招かれたのは一般消費者200人。新車発表会といえば、通常はメディア向けに行うものだが、会場に入ることが許されたのはカメラマンのみで、記者は会場外のモニターで見学するのみだった。事前に別の日に開発責任者による説明会があったものの、本番の発表会にメディアを招かないのは異例だ。
 最近の豊田社長は、新聞やテレビなどのメディアを介さず、直接、消費者や投資家に働きかけることを意識している。決算会見に投資家を呼んだことや、名古屋のFM局の番組に出演したりして話題になった。クラウン、カローラスポーツの発表会もその一例と言える。
 そもそも、最近のトヨタは、社長が新車発表会に登場することはほとんどない。今回、社長自ら登場したのは、単なる新車発表会ではなく、トヨタのコネクテッド戦略の幕開けと位置付けたからだ。
 コネクテッドカーは自動運転、電動化、シェアリングと並んで、“100年に1度”と言われる自動車の大変革の一角を占める新しい技術だ。データ通信を行う車載機(トヨタはデータコミュニケーションモジュール=DCMと言っている)を搭載し、常時、ネットにつながる。何ができるかといえば、その代表的なものが緊急時情報サービス、いわゆるeコールだ。欧州やロシアで義務化されており、日本でも導入が始まる。事故や急病時に自動で救急車や警察に連絡が入るという仕組みだ。
 そして、もう一つメーカー各社がコネクテッドカーで取り組もうとしていることがメンテナンスの効率化だ。車の各部に搭載したセンサーからの情報をもとに、故障前の最適なタイミングでユーザーにメンテナンスを提案する。あらかじめ入庫時期を予測して準備しておけるため、必要な時に必要なだけのメンテナンスサービスを提供できる。トヨタに言わせれば、これはまさにサービスのJITということになる。 お客にとっても不具合の説明をする手間が省け、時間の節約にもなる。走行データをもとに安全運転の度合いによって保険料を割り引く自動車保険も提供する。
 コネクテッド化によってユーザーにとって車はより安全・安心、そして便利なものへと進化する。一方、メーカーにとっては、販売店を介さずに、ユーザーと直接つながることができるようになる。販売店の“資産”だった顧客情報にも直接、アクセスできるようになることはメーカーの大きな武器になる。
 トヨタは「プリウスPHV」からDCMを搭載し、コネクテッドサービスを開始した。トヨタの代表車種であるクラウンとカローラスポーツに搭載したことで、実質的なコネクテッドかカー時代の幕開けと位置付けた。トヨタ店、カローラ店2200店がサービスに対応する体制を整え、年内には5千店舗に拡大する計画だ。
 サービスは有料で、クラウンが年間1万6000円、カローラスポーツが1万2000円かかる。新車購入後、最初の3年間は無料にして加入を募り、4年目からは有料になる。豊田社長はトヨタを、「車をつくる会社からモビリティカンパニーへと変えていく」と宣言した。サービスに加入するかどうかはユーザーの自由だが、まずは車載機を搭載した車を世の中に普及させることで、コネクテッドカーを増やし、様々なビジネス機会を探ると見られる。