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2月の米新車市場がさらに悪化


 米国の新車販売が下げ止まらない。米オートデータが集計した2月の米新車販売は、前年同月に比べ41.4%減の68万8900台、年率換算で912万台と1 月の957万台に続き2カ月連続で年率1000万台を下回った。2007年の販売台数が1610万台だったのに比べると4割も市場が縮小していることになる。新車販売の状況を見る限り、米国経済が回復する兆しは見えない。ゼネラルモーターズ(GM)の再建の行方も不透明。オバマ新政権の誕生で景気回復への期待が高まったが、米国経済の先行きには依然として不安がつきまとう。
 米新車市場の低迷がいつまで続くのか、底がどこなのか―。日系自動車メーカーの最大の関心事は米国市場の動向だ。昨年9月15日のリーマンショック以降、なだれを打ったように総崩れとなった米新車市場。1月は単月の販売で初めて中国に抜かれた。1月20日にオバマ新政権が誕生し、その経済対策に期待がかかるものの、2月の新車市場は1月をさらに下回り、金融危機が実体経済に及ぼしている影響の深刻さを印象付けた。2月のメーカー別販売は、GMが前年同月比53%減、フォードが同48.2%減、クライスラーが同44%減と米ビッグスリーが4〜5割の大幅な減少。日本勢もシェア2位のトヨタが同39.8%減、ホンダが同38%減、日産が同37.1%減と大幅なマイナスだった。
 年間1000万台といえば、2億5000万台の保有台数があるといわれる米国市場で、25年1度しか代替がないということを意味する。トヨタ自動車の次期社長に内定した豊田章男副社長は「25年に1度の買い替えは異常。米国市場は必ず回復する」と強調する。最大の問題は機能不全に陥っている金融機能だ。金融機関が与信を厳格化し自動車購入したくてもローンを組めないことが販売不振の大きな要因になっている。トヨタの販売金融子会社、トヨタファイナンシャルサービス(TFS)の米国法人では、あくまで信用度の高い消費者向けのみだがトヨタ車以外の購入者にも資金を貸し付けていると状況という。
 米国では住宅を担保に自動車ローンを組む人が多い。このため住宅価格が上がり続けた局面では、いくらでもローンで新車を買うことができた。住宅価格の下げ止まりが見えないうちは新車市場も低水準が続くと見られるのはこのためだ。主要な経済指標も実体経済の悪さを裏付けるものばかりだ。3月6日に発表された2月の雇用統計は非農業部門の失業者数が3カ月連続で65万人を超え、3カ月間の合計で200万人を超えた。この数字は第2次世界大戦後では最悪という。また昨年9月のリーマンショック以降、就業者数の減少数は328万5000人に達する。2月の失業率は8.1%にのぼり、更なる悪化が懸念されている。
 自動車業界にとってはGMの再建の行方がどうなるかも市場動向に並んで目下の最大の関心事だ。GMは2008年12月期決算で308億ドル(約2兆9000億円)の最終赤字を計上した。3月5日に証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書には「企業として存続していく能力に著しい疑問がある」との監査人の指摘を記した。これを受け米ウォールストリートジャーナルは、GMが破産法の適用申請を視野に入れていると報道。GMは直ちに「破産申請しない再建を目指す」とのコメントを明らかにしたが、GMの株価は一時1ドル27セントと大恐慌時の1933年5月以来、75年10カ月ぶりの水準に落ち込んだ。GMは「破産法に基づく経営再建は多大なコストとリスクが伴う。最も影響が大きいのが販売減による収入の劇的な悪化だ」と破産法申請を回避しなければならない理由を説明している。
 米国市場への依存度が高く、現地生産も拡大してきた日系自動車メーカーにとってもGMの販売急減は多大な悪影響が懸念されている。1次部品メーカーが現地に進出しているものの、GMやクライスラーと取り引きしている現地部品メーカーを2次・3次下請けで活用しているケースも少なくないからだ。GMが破綻すれば現地部品メーカーが倒れ、ビッグスリーだけでなく、米自動車産業全体が崩壊しかねないからだ。
 GMは米政府に300億ドルの追加支援を要請しているが、まずは6月1日に償還期限を迎える約10億ドルの債務削減について、債権者や労組と3月末までに合意する必要がある。GMは「合意できなければ破産法を申請せざるを得ず、最終的に清算に追い込まれる可能性がある」としている。GMは本当に再建に向け動き出すことができるのか。米政府の対応がなおも注視される状況が続く。




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