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  2009年の自動車生産が大幅に減少


 日本自動車工業会(自工会)が発表した2009年の国内自動車生産台数は、輸出が大幅に減少し8年ぶりに1000万台を下回った。世界同時不況による需要の低迷で年前半に大幅な生産調整を行ったことや、主に欧米向けの輸出が激減した。為替が円高ドル安・ユーロ安で推移したことも輸出の減少につながった。欧米市場は回復が遅れているほか、為替も1ドル=90円前後という円高水準で推移している。輸出が上向く材料は乏しい。メーカー各社は期間従業員や派遣社員を削減し、生産台数の減少に対応した体制を整えつつあるが、輸出がこのレベルで推移すれば生産能力のさらなる調整が必要になる可能性がある。
 09年の国内自動車生産台数は前年比31.5%減の793万4516台と2年連続で減少するとともに、雇用維持の目安となる1000万台を8年ぶりに割り込んだ。この結果、自動車生産台数で世界一の座を09年は中国(1400万台)に譲った。

生産が大幅に減少したのは生産の半数を占める輸出の激減によるところが大きい。09年の輸出は全地域向けが減少し、前年比46.2%減の361万6168台と8年ぶりに前年実績を下回った。日本からの自動車輸出は2000年以降、増加の一途をたどっていた。特に05年以降は500万台を超え、08年は過去最高の1985年(673万台)に迫る672万台に膨らんだ。ガソリン高に伴って、米国では燃費性能の良い小型車への人気が高まり、円安ドル高も背景に、日本からの輸出が拡大した。

特にトヨタは円安に乗じて「ヤリス」や「カローラ」など小型車の輸出を拡大した。この時期にトヨタは大きな為替差益を稼ぎ、営業利益で2兆円を超える利益をたたき出した。
だが09年の米国市場は1043万台と前年比4割減に落ち込み、トヨタ、日産、ホンダの米国販売もそれぞれ2割の落ち込みとなった。日本メーカー全社合計の米国向け輸出は前年比41.8%減の120万2千台で、販売の落ち込み以上に、輸出のマイナス幅が大きかった。
米国向けもさることながら、欧州や中近東向け輸出も不振だった。欧州は前年比56.9%減の68万5000台、中近東向けは同55.1%減の42万8000台にとどまった。欧州は西欧各国がスクラップインセンティブを実施し需要を下支えしたが、欧州でのシェアが低い日本メーカーは、欧州メーカーほどは販売を伸ばせなかった。中近東も原油価格の下落や世界不況の影響を受け需要が低迷した。
唯一、回復が早いのがアジア地域だ。アジア向けの09年の輸出は前年比27.9%減と主要地域別で最もマイナス幅が小さかった。また12月の実績では前年同月比59.8%増と急速な回復を見せている。特に中国向けの輸出は前年同月の2倍の2万台と大幅に増加した。先進国の景気回復スピードが遅いのに比べ、アジアでは経済成長とともに自動車需要の回復も目立っている。
国内自動車メーカー各社はリーマンショック後、期間従業員や派遣社員を削減し、国内の生産能力を大幅に引き下げている。このため足元では、エコカー減税や補助金で需要が持ち直している国内需要に対応するため、ぎりぎりの人員の中で休日出勤や残業で対応している。
各社が思い切って生産現場の人を増やせないのは、国内生産の増加が見込みにくいからだ。エコカー補助金は9月末で終了するため国内は反動減が懸念される。欧州もスクラップインセンティブの終了でドイツなどではすでに反動減が出始めている。米国市場も確実な回復の足取りはまだ見えにくい状況にある。為替は1ドル=90円レベルで定着し輸出は不利。現地工場の稼働率向上のためにも現地化を推進しなければならない情勢にある。
一方で、需要拡大が確実な中国やインドなどの新興国ではコスト競争力の観点から現地生産が必須となる。今後、日本はどれくらいの生産台数を維持できるのか。国内生産車のコスト競争力の強化が一段と重要な局面に差し掛かっている。





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