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日本メーカーのメキシコ投資拡大
の背景は?


 自動車メーカーが新興国での投資拡大に動き出している。2008年のリーマンショック後、投資を大幅に減らしてきたメーカー各社だが、経済成長で需要拡大が見込まれる新興国では、新工場建設や増産計画を相次いで発表している。北米の一角を占めるメキシコでも、ホンダやマツダが新工場を計画し、日産も大幅な生産拡大を見込む。米国、南米への輸出拠点として、日本メーカーの新たな生産拠点になりそうだ。
 メーカーの新興国投資と言えば、リーマンショック前は中国とインドが中心だった。ロシア、ブラジルを含めた4カ国はBRICSと呼ばれ、新興市場として注目されていた。しかし、リーマンショックでロシアの新車市場は激減した。インドは中国に次ぐ世界第2位の人口を持つものの、市場の成長スピードが予想以上に緩やかだ。米国を抜いて世界一の市場に成長した中国は引き続き重視すべき市場だが、過剰生産能力も問題で、新規の合弁事業の認可に時間がかかっている。
 中国、インド、ロシアの成長にやや停滞感がある中で、メーカーが投資を拡大しようとしているのが、メキシコだ。メキシコと言えば、日産自動車が現地生産で長い歴史がある。北米の一角として、欧米メーカーも工場を構えている。北米自由貿易協定(NAFTA)の加盟国であるほか、ブラジルなど南米各国ともFTA(自由貿易協定)を結んでいる。メキシコ国内の新車需要は大きくはないが、労働コストが安く、生産・輸出拠点としての魅力が高い。 
 日本メーカーは、リーマンショック前までは1ドル=110円台という円安を味方に、日本からの米国向け輸出を拡大していた。しかし、現在の1ドル=80円前後の為替レベルでは、日本から輸出すればするほど赤字が増すばかりという状況になっている。だが、米国は緩やかながらも需要が回復しつつある。韓国・現代自動車が品質を向上させ、日本メーカーの市場を奪いつつある。独フォルクスワーゲン(VW)も米国工場を稼働し、販売を拡大しており、リーマンショック前後で、日本メーカーの米国での事業環境は様変わりしたと言える。日本メーカー、特に、ホンダやトヨタ自動車は、米国市場に育てられてきただけに、現代自やVWというライバルへの対抗策が急務と言える。
 中国に抜かれたとはいえ、米国市場は日本メーカーにとって最重要市場であることに変わりはない。その米国で、現代自やVWとの競争に勝つための戦略拠点になり得るのがメキシコだ。日本から輸出していた小型車をメキシコで生産して米国に輸出すれば、少なくとも円高影響を軽くすることができる。ホンダは2014年春に年間生産能力20万台の新工場を稼働。次期「フィット」を生産し、米国向けに輸出する予定だ。日産も米国向けの小型車の生産を増やすためにメキシコ工場を増強し、将来的には、メキシコの生産能力を、2011年の4割増となる年間100万台へ引き上げる方針だ。
 マツダは、ホンダや日産とは異なり、メキシコ工場を、主にブラジル向けの生産拠点と位置付け、13年度後半に工場を稼働する。生産するのは「デミオ」と「アクセラ」だ。ただ、ブラジル政府は、増え続けるメキシコからの完成車輸入を規制する方針を最近になって表明。マツダは、メキシコからの米国輸出も具体的に検討することになりそうだ。
 日本メーカーは、一部の高級車を除き、完成車輸出は欧米向けを中心に行ってきた。しかし、2011年の欧州債務不安をきっかけに一段と進んだ円高ドル安ユーロ安で輸出採算は悪化している。13年〜14年にかけて登場する次期車では、米国やメキシコでの生産に切り替わるモデルが増える見通しだ。輸出が減ることで、国内生産台数は900万台を割り込むことは確実と見られる。国内需要を活性化させていくことは従来からの課題だが、部品メーカーを含めた日本のものづくり力、開発力をどう維持していくかも、自動車業界の現実的な課題になっていきそうだ。




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