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  第12回 ISO9001(その8) - 「大切なパートナー」

 今回も、ISO9001規格の「第7章:製品実現」の中の一つで規定されている「購買」についてお届けします。

 皆さんの会社では、資材・部品などの物品や商品を供給してくれる「仕入先」が存在するでしょう。また多くの会社では、役務(サービス)を提供してくれる「外注先」とも取引されていることと思います。このような「仕入先」や「外注先」を総じて、ISO9001では「供給者」と呼んでいます。

 「後工程はお客様」と言う言葉を耳にされた方はおられますか。これは、社内でも自分の仕事を受け取ってくれる相手を、お客様と同様に大切にするという気持ちを表したものです。しかし、トヨタ生産方式を実践していた人達の中では、「前工程は神様」という言葉も使っていました。前工程には仕入先や外注先などの供給者も含まれますが、この人達は自分達の作れない製品、あるいは自分達のできないサービスを提供してくれるからです。

 同じように、ISO9001でも「供給者との互恵関係」を基本原則としており、パートナーとして良好な関係を築き、お互いの事業の発展をめざすことを目的にしています。

 日本では、顧客としてお金を支払う側の立場が強くて偉いという風潮があるように思えます。しかし取引上の優位性を利用する関係は、いずれ破綻の可能性を含んでおり、発注側のリスクになります。公正な取引には、売りと買いの立場は、50:50(フィフティ・フィフテイ)という基本姿勢が必要です。

購買プロセス

 ここでは、物品の仕入れや業務を委託する供給者、そしてその供給者から購買した製品・サービスに対して、どのような管理をするかを決めることを要求しています。つまり、契約の内容を定める、受入の条件を定める、重要な供給者は監査をする、などの必要な点を明確にすることです。ただし、その管理の方法や程度は、購買する製品やサービスの重要性によって決めればよいので、重要な供給者はきめ細かく、それ以外は必要最低限とすればいいでしょう。

 さらに供給者に関しては、自社の要求に適った製品・サービスを確実に提供してもらうために、その能力を評価して選定しなければなりません。評価の着眼点は、経営状況、技術能力、品質保証能力、価格対応力、納期対応力、業界での評判、など多く考えられます。この様な着眼点から、自社と供給者の関係を保つためにふさわしい着眼点を選んで評価すればいいわけです。そして、評価がどのような水準であれば供給者として採用をするかを明確にしておきましょう。

購買情報

 供給者に提示する契約条件や注文内容のことを購買情報と呼んでいます。発注する製品・サービスに関する購買情報を明確にすることが要求されています。大事な購買情報については口約束ではなく、必ず契約書や注文書などの文書で提示するようにしましょう。

 供給者に提示すべき購買情報には次のようなものが考えられます。

  ・購買する製品の品質基準
  ・サービスを提供してもらう手順
  ・供給者が使用する設備に関する要件
サービスを提供してもらう人の適格性に関する要件
マネジメントシステムに関する要件(例えば、供給者にISO9001に従った業務運営を要求すること)
 そしてこれらの購買情報は、供給者に提示する前に、内容が妥当であるかを確認しなければなりません。


購買製品の検証

 発注した製品・サービスを受け入れる際は、購買情報で提示した要求を満たしているかを確認しなければなりません。一般的には購買製品の品質は受入検査を行って確認します。可能であれば、供給者側で自主検査を行ってもらい、その結果を文書で確認するとよいでしょう。

 製品やサービスの種類によっては、供給者の事業所において、手順や出来ばえの検証をする必要もあるでしょう。ただしこの場合は、どのような検証をしてどう受け入れるかを、あらかじめ提示する購買情報の中で明確にしておかなければなりません。

 以上のような、自社と供給者との間で必要なやり取りと管理を示したものが図8です。



アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!



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